
野生に学んで人工繁殖をする例として、ライチョウを挙げようと思っていたのだが、後述のようにあやふやな知識しかなかったので、依拠できる記事の類を探していた。で、昨日、自然保護活動のOFLAさんがコラムでわかりやすくまとめられているのに気づいた(こちら)。
もちろん野生の保護活動に熱心に取り組む気もなければ、そこに山があったら登らない一般人の私は、あの丸っこい生き物がいないと寂しくなるので保護してもらいたいとは思いつつ、暖かい家の中で文鳥を飼って満足していることもあり・・・、有志の皆さんがんばってください、といった態度だ。ただ、数年前にテレビで、ライチョウを人工飼育下で繁殖する試みが紹介されていたのは見ていた。それは幼鳥段階で全滅するという内容で、高山特有の食べ物が不足するのが原因か、成鳥のフンを混ぜてはどうか、と試行錯誤が続いている様子を紹介していた。一方で、最近は人工飼育したライチョウを野生に戻す試みを仄聞していたので、以前の問題点を克服したのだな、と漠然と思っているだけだった。
国を挙げた、要するに予算が付いている調査研究の国家事業は、研究者各位の奮闘努力を支え、人工繁殖からさらに人工授精まで可能にし、飼育面においては、下記の段階だと言う。
「孵化直後に凍結乾燥糞末を確実に投与すること、ガンコウランなどの凍結乾燥粉末を餌に混ぜて菌叢誘導を図ること、人工飼料を減らして高山植物の採餌を促す給餌方法の工夫など、より確実な腸内細菌叢の定着を目指します」
以前見た番組では、地衣類か、とも想像されていたかと思うが、すでにガンコウランという高山植物が大きな役割を持っていると特定され、それを食べて成鳥のフンから腸内細菌類を取り込むことで、ライチョウの腸内細菌叢を形成できるようになるという、生存のシステムが解明されているわけだ。
とりあえず、野生に学べば、食べ物は栄養面だけでは測れず、特定の食べ物に依存している可能性もある、ということはわかるかと思う。文鳥にしろセキセイインコにしろ、そうした特殊な部分があっても致命的な問題にならないので飼育が可能だが、それはたまたまに過ぎず(生息域が広いので、特定の食べ物に依存しないように進化しているとも言える)、実は見落としている部分が多くあるはずで、そうした面でも、謙虚に、野生から学ぶ姿勢が必要ではないかと思う。
ところで、文鳥よりもセキセイに多いと思うのだが、飼鳥には食糞という行動がある。人間は自分たちが食糞を必要としないので、衛生面で忌み嫌い、栄養面を強調して食餌での栄養摂取で解決することのように思っている、またかと思うのだが、獣医さんも多いようだが、必要性がわかっていないだけの可能性もある。
その点、ナショナルジオグラフィックの記事は(「うんち食べる動物、鳥も魚も 栄養や腸内細菌のメリット」)、食糞を汚いとだけに思える私たち飼い主に、多くの示唆を与えてくれるのではなかろうか。セキセイインコは世界的に見れば文鳥より圧倒的に飼育される小鳥で、その研究が盛んだった時期もあるが、文鳥以上に穀物の単品食傾向が強いので、腸内細菌叢に注目すべきなのではないか、と思う。

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