シードは籠の文鳥も幸せにする?

体格がしっかりしてるので男の子だと思っていたけれど?21代目のニーチィ

 私はナチュラリストではないので、加工食品をすべて嫌い自然食を礼賛するようなことはしない。しかし、1960年代の飼育雑誌では、今現在真似したくない飼育の実際が、得意げに語られている。「オレはヒエだけで飼ってるぜ!」、とかそういうものだ。
 で、私は考える。なぜ、ほとんど単品食、たまに青菜を放り込んだりボレー粉を入れたりする程度で、代々畜産物として繁殖出来ていたのだろう?
 結論としては、そのような粗末な内容で、文鳥のエンリッチメントは実現してしまう。であった。ではなぜ、実現してしまうのかといえば、、単品でも殻付きエサをむく行為だけで、文鳥の摂食面でのエンリッチメントは満たされ、水浴びをしていればカゴから出さなくても運動不足にならないのだろう、との推定に行きついた。
 しかし、繁殖農家なり繁殖家などと言う人種は、繁殖を卒業した文鳥のことを知らないのだから、そのか籠の鳥状態が文鳥に与える影響など知るわけもない(「太い」部分の半分くらいで売り払ってしまう)。で、私は非手乗りの繁殖用やカゴから出ることを好まない文鳥(十姉妹も)を、カゴから出さず飼育している。その中には、長らく「文鳥団地」で生活したものの、自分のカゴに帰宅することが出来ず、捕獲されるのを怖がり、それが悪化の一途だったヒデちゃんも含まれる。
 ヒデ、2017年の2月3日に宅配されてきた禿げたヒナが成長し、順調に売れ残った彼女は、現在9歳に近づいている。健在だ。だいぶ動きが鈍くなっているが、ブランコ好きアワ玉好きは変わらない。その他、カゴで生まれ親に育てられそのまま育った十姉妹も含め、カゴから出さない弊害は認められない(アワ玉では太らないのもわかった)。このようなことは、よほど特殊な環境で飼育しなければわかるまい?

 したがって、長生きさせようといろいろ余計なことをしなくても、長生きする子はするので、「これをすれば長生きする!」などと信じて、文鳥との会話もそっちのけでがんばっている人を見ると、やらなくても大して変わらないだろうし、したことが逆効果になる可能性は考えないのだろうな、と思ってしまう。

 ペレット伝道師のような獣医さんは、犬の診察をされないので、気楽な「布教」を四半世紀も無反省に続けられたのかもしれない。
 なぜなら、その間、ドッグフードが一般化した飼い犬に、食べ物によるアレルギー症状を起こす子が急増し、グルテンフリーや原材料を単品にしてアレルギー反応が出ないかなどなど、戦々恐々と試さなければならないようなことにもなっているのである。したがって、症状が出ないうちに、一種類の食材からタンパク源を得ないように気を遣うことが推奨されつつあり、「ウチの子にはこのドッグフードだけを食べさせています!」などと、どや顔で言えば、常識が疑われることにもなってきている。
 そのような現実をわきまえていれば、何とか社のペレットだけ食べればOKなどと、お気楽に言えたのは昔だね、昭和だね、なのだが、気づいてみれば、25年にして同じことを言っているのだ。これを、ガラパゴスかと言うのだ。

 犬の場合は、獣医さんたちがドックフードによるアレルギー問題をしっかり受け止めて対応しようとしている。飼料会社もまた然り。一方、日本の鳥系獣医さんは、無批判にペレットを推奨するだけ、過食問題では低栄養を疑っても良さそうなものを、ただの量の問題として拒食に追い込むような対応までする獣医さんがいるようでもあり、およそ客観性が保てているのかさえ疑わしくもある。

 たまたま飼い始めた生き物が、シードを食べるために進化し、それを与えて飼育することが出来て、しかも病気知らずで獣医さんの世話にならずに天寿全うするのが当たり前、これほどラッキーなことがあるだろうか?そのラッキーを素直に享受していれば、21代も続くはヒナだらけでうれしい悲鳴を上げるようなことにもなり得る。せいぜい、ドヤ顔してやろう。

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