怪我の功名

シルバーのはずだが・・・

 反面教師という意味では、『コンパニオンバードの病気百科』は、私にとって役に立った。15年前の出版当時だったら「被害者」より少なく抑えられて良かったかもしれないが、15年のおかげで、その獣医さんたちの言ってる実績など何もない空理空論を無視するどころか、しっかり批判非難までして飼い続け、代は重ねて多くの実績を残し、空理空論でしかなかったことを、嫌というほど実証することになった。
 もちろん、そのようなことは意識していなかったが、結果的にそうなっている。15年前の彼らの心配は見当はずれに終わった。決着ずみだ。文句があるなら、彼らは彼らの言うことに従って飼育し、代々と飼育している例を出す他ない。それでようやく対等、どちらでもうまくいくんだね、になる。
 ペレットを安易に進める獣医さんは後を絶たず、それでいてまったく需要が伸びず、始末の悪いことに、獣医さんが栄養学に精通していると信じてその意見に盲目的に従う人もいて、2013年にこの場で徹底的に批判した(先ほどまで忘れていたのだが、コチラだ)。それからも、10年以上経過したが、その何とかいうペレット、特殊といえば、ヨウ素過剰に敏感すぎる外国にあって珍しく昆布を原料の一つにしていて、もし私がペレット無用論者ならいくらでも危険性をでっちあげられたであろうそれの愛用者で、私以上に無病息災で多くの文鳥その他と生活できている人がいるなら、教えていただきたいものだ。

 それは良いとして、15年前の無責任理論の連発のおかげで、忘れ去られたクロンベルガー教授の書物を紹介できたし、高橋達志郎先生の偉大さを再認識できた。ヨウ素の過剰摂取について「警戒ブイ」も出せたし、栄養性脚弱症の原因をビタミンB1の欠乏とする思い込みから解き放たれ、ビタミンD3とカルシウム不足によるものと単純に考えれば良いことに気づくこともできた。
 なお、付け加えるなら、高橋達志郎先生は、栄養以前に「差し餌の仕方が悪い場合とその他の原因で下痢をしている場合が多い」と喝破され、湯づけエサの作り置きを戒めている。実に実態に即した意見と言えよう。このあたりは、「巣引き屋」の経験からくる洞察であり、今現在の獣医さん(と言うよりほぼみんな)真似のできないところかと思う。栄養を良くしたところで、下痢になっていれば、やせ衰えて死んでしまって当然なのだ。

 小鳥臨床の神様は、ずいぶんと昔からいない。神様の衣鉢を継いでいる先生たちも高齢になってきている。最新を追っているつもりの獣医さんたちの多くは、神様の言葉から学んで足もとの知識を固める努力をせず、浮ついた知識を求めるばかりだ・・・。若いのに批判精神に欠け、教科書通りに生意気を言っても、その教科書が頼りないどころか、参考文献もまともに挙げられず、前書きで協力者の実名を挙げて顕彰感謝も出来ないような体たらくであることにさえ気づけない(嘘だと思ったら大学の恩師でも何でも人文科学でも自然科学でも研究書専門書を読んでいる人に見せて意見を求めたら良い。有閑マダム向けの雑誌で「最新情報!」ひけらかすのとは責任の度合いが違うんだよ?)。そうした人の戯言に従っていたら、危険千万なのである。小鳥の飼い主は、教科書など無い、あるとするなら高橋達志郎先生の古本を探すしかない事実をわきまえ、て飼い主はごく単純な知識を身に付けて、無病息災をめざして、10年間を楽しく送れるように心がけたいものである。
 専門らしき病院に行けばいいってものではないのだよ。獣医さんを信じれば助かるものでもないのだよ。自分を信じる小鳥たちに応えるためには、自分を信じられるようにしないと。自分の頭でしっかり考えていただきたい。

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