ウチの家系を消さないで!

 「万世一系」のお題目を信じて疑わない人たちは(博徒の親分が良く似合う岩倉具視のはったりだと思うのだが・・・)、信じて疑わないなどと言う贅沢が許される状態ではないという現状認識に欠けている。男系は旧宮家にたくさんいるだろうから、復帰させれば良いなどと単純に考えているようだが、そもそも断絶していたり断絶しそうだし、などで男系男子はたくさんはいないし、その男系と言うのが600年以上も前に男系が分岐したものだ。さらに、明治時代の皇統断絶の危機に、男系男子が継ぐ万世一系を掲げた明治政府は、何のためらいもなく4皇女をすべて皇族に嫁がせているように、血脈の遠近がその地位の正統性に絶対的な意味を持つことに無頓着だ。男系だけで見れば、近衛も鷹司も、「男系が置き換わる!」は欠片も感じず、平気で皇族を養子に迎えている。こだわる方がよほど日本の悠久の歴史の内に紡がれた歴史の常識に反しているのである。
 いったん皇籍を離脱してしまえば、民間人として生きるわけで、そうなれば皇族としての伝統を失い、容易には戻れない。これも歴史上の常識で、本家を出て養子に行った者は、本家に跡継ぎがいなくなっても、戻ることは通常無い。それは不文律と言える。現在の皇位継承については、誰よりも当事者たちが理解しており、旧宮家、久邇家出身のおひとりは、「皇族としての教育を受けてこなかった人物が、国民が望む活動ができるのかも疑問に思っている」(こちら)。また、竹田家のお一方は、「(皇族復帰は)絶対にあり得ないと言い続けてきた」とされている(こちら)。久邇宮は昭和天皇の皇后の出身宮家であり、竹田恒泰氏は明治天皇の玄孫、先に触れた4皇女のお一人の子孫だ。比較的に、今の皇族と近しい血縁にあり、かつ男系だ。そのような天皇家に血縁として近しい方々でも、皇族に復帰するのは無理筋だと思っているのである。

 旧宮家の皇族復帰、と一概に言っているが、実際問題として、国民の過半が納得できるのは、東久邇家のみではないかと思う。この旧宮家は繰り返し現在の天皇家と婚姻関係があり、説明をされたら、なぜ皇族ではないのか不思議なほどだ。元々、明治天皇の皇女を迎えるために久邇宮家から分離創設され、さらに昭和天皇の皇女も降嫁しているのである。血縁で見れば、第二天皇家と言えるほどご皇室に近く、おそらくは昭和天皇の意向でわざわざそのようになった気配が濃厚な、特別な家と言えよう。
 この家が、十把一絡げに他の宮家同様に臣籍降下させたのは、そもそも間違いだと思うが、現在でも、区別されずに「旧宮家」で済ませてしまっている。この際、分けて考えるべきで、その拠って立つ根拠は、男系ではなく、女性を介した血縁の濃さとする他ないだろう。それで、もし、名目だけでもご養子にしていただけるのなら、皇居にたびたびお越しいただいて、慣れ親しんで、天皇位の必要性、使命感などを実感しつつお育ちいただいて、自然に継承権を持つ身になっていただくのがベストではなかろうか。男系男子の継承を望むなら、現実を直視して、自己犠牲を強いるような物言いで嫌気がささないように、気を付けた方が良いだろう。

 昔は父親が娘先の嫁ぎ先を決めたが、現在ではそれは不可能だ。ご皇族の人格を認めず、個人の自由を尊重せず、これとこれが婚姻すればすべてうまく行く、などと平然と言ってのける人がいるものだが、ご皇室に対してそのような差し出口は僭上の沙汰で不敬であり、それ以前に、自分の娘にそれが出来るのか考えた方が良い。
 以前、皇太弟殿下がご長女の民間人男性との結婚に難色を示され、それでも「両性の合意」で結婚できると日本国憲法にある以上、当事者ふたりの好きなようにしてもらう他ない、との趣旨をおっしゃっていた。たんなる邪推の可能性が高いが、私は旧宮家の中に婿にしたいと望む方がいらっしゃったのではないかと感じた。しかし、明治天皇や昭和天皇には可能でも、自分にはそれを強引に進める根拠もなければ、言ったところで娘が言う頃を聞くわけもない。「言うことを聞かない娘を座敷牢にでも放り込み、縄で縛ってどこかに縁づかせるなどできますか?昔とは違うのは、あんたがたでもわかっているでしょう?」と言われているような気がしたものである。

 さて、我が家の文鳥たちは、ヒナの初代ヘイスケを購入して以来30年21代だ。奇しくも、天皇家の男系が天皇家と伏見宮系と分かれたのと、似たようなものだが・・・、もしヘイスケの子孫が絶えて、どこぞにいた兄弟の子孫を連れてきて、「一系だよ!」と言えるだろうか。これまで引き継がれてきた(んじゃないか)の血脈は無かったことになる。性染色体が同じなら、圧倒的に多くの情報を遺伝させる常染色体の継承など一切無視する、そのような理論があり得るだろうか?
 神武天皇以来のY染色体がうんぬん、の言い出しっぺが八木さんなのか下ネタ好きの竹内久美子さんなのかは知らないが、それにこだわれば、より多くの遺伝情報の継承が消し去られることくらいは理解し、現在のご皇室の継承の道をお考え頂きたいものである。

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