
ナイがいつ出てくるかと落ち着かない。
ただ、隠れそうな場所はすでにチェック済み。そもそも、捕まらずに飛び回り、羽を切るとネズミのようになって暗がりを求めてしまっていたアオや(この悪癖は直った)、一時換羽で神経質になってあらぬ方向に飛んで行くオノコを想定し、放鳥部屋の隣を私の部屋にしたり冷蔵庫の買い替えがあったりした際に、入り込めないように対策をしているので、体の不自由なナイが隠れられる場所があまりない。にもかかわらず、姿が無い。通常、姿が無くてもガサゴソ動く音が聞こえるものだが、それすらない。
最近のナイは、加齢に伴い体力が低下し(2021年7月25日生まれなので老け込む年齢ではないが、障害のためか体力の低下が普通より早い)、20センチも飛び上がれなくなっていた。時折、ケージから出て飛び出すが、ほぼ垂直に落下して、それでも羽ばたいているので床に不時着したようになって(オステは、一切はばたかずに真っ逆さまに落ちて、床に顔を強打する)。その後、歩き回り、拾い上げようとする飼い主から逃げようと、テーブルの下をウロチョロする。彼は、頭の上に何かある方が安全と理解しているらしく、テーブルの下から離れない。帰宅の際は手に乗るのだが、やたらと助走に時間がかかっていた。
若い頃、とても静かで何物にも染まっていなかったあの印象的な澄みきった瞳には、猜疑の色が浮かぶようになり、「いないいない、ばぁ~!」と手をテーブルの下から出すと無邪気に喜んでいた子が、「変なことするな」とお尻を向けて行ってしまうようにはなってはいたが・・・、これはおとなの階段を上っただけで仕方があるまい。
居残りっ子が爆発的に増えたので、カゴを置くためテーブルの横に収納家具を設置したのが、彼の行動を狂わせた可能性はありそうだ。カゴの前にあって毎日見ているわけだが、久しぶりにテーブルの下に降りたら、それにとても違和感を感じて、どこかに逃げかくれてしまった・・・。にしても、飛べないので行動できる範囲は限られているはず・・・。放鳥部屋とその隣の私の部屋以外には行けない。・・・見つからないわけが無いのだが見つからない。
ベッド下の空間は、以前アオが飛んでベッドに落ちて、奥の隙間からずり落ちて入り込んだケースがあったので、念のため開放してみたものの、床面からの防御は鉄壁なので、ライトの届かないところに身を潜めている可能性は、ゼロに近いだろう。
寝ぼけた私が、間違って違うケージにいれた可能性まで考えたが、当然それは無く、実は何日も前から失踪しているのに気づかずドアの外に、さらには屋外に出た可能性すら考えたが、その場合、逃げるのが目的なので、わざわざ避けたい相手の飼い主の後ろについてくるはずもなく、現実的ではない。また、一昨日カゴに戻したオステがきょろきょろナイを探す様子だったのを見ると、異常は一昨日の「夜会」中と見なすのが妥当だ。ただ、妥当だが、その時間に行ける範囲内で身を隠すなど、ほとんど不可能ともなるので、お手上げである。
そのように考えていき、神隠しなどないとすれば、頭が突っ込めるかどうかの場所に錯乱して突っ込んで身動きが取れずに、かなり早い段階で息絶えてしまい、そのため物音ひとつしないのだ、という結論になる。何しろ相手は手のひらサイズの25gだ。挟まりたいと行動すれば、そうなる場所は・・・と、つまり、すでに遺体の収容を意識しているのだが、アオ仕様の鉄壁の防御体制にはそのようなことが起きそうな場所すら見いだせないでいる。
・・・実際、神隠しだ。見当がつかない。

