骨折で賽の目の確率死など生命軽視に他ならず

 下書き段階で公開してしまったので、改めまして・・・。

 13年前に目星をつけていた動物病院に朝方予約を取って(窓口の応対は好印象であった)、17時に行った。待ち時間はほぼゼロで、中性的な柔らかな物腰の白髪の男性先生(サイトにある若い頃の画像から変貌している)が、レントゲンを撮って、3人がかりで医療用の紙テープをテーピングしてくれた。痛み止めに「MSA」と言っていたので、たぶんネクトンのMSAを加えたものを処方してくれた。で、18,000円が消えていった(念のため言っておくが、↑画像のレシートのこの病院が高いわけではない。人間並みに3割負担なら5,400円で、常識的かと思う)。
 ただ、この程度のテーピングなら、自分一人で出来るので、また行くつもりは微塵もない。ところが、窓口で消えた財布の中身に動揺していたらしく、うっかり予約をしてしまった。・・・キャンセルしないと。・・・休診日にほどけたので他で治してもらったことにでもしようか。
 売値が4500円のくせに20000円の支出を強いた「クロダ」は、目障りなテープをはがそうと一所懸命だ。・・・これはすぐに取れてしまうだろう。文鳥は視界に異物が入ると気になって気になってどうにもならなくなるのである。例えば翼の羽が1本何かの拍子に曲がってしまうと、それをかじってかじってかじり倒してさらに曲げてしまってイライラと気が狂わんばかりになる。そのような際、飼い主はためらわずに羽を抜かねばならぬ。
 ではこの場合は・・・、とりあえずテーピングのフチを切って縮めて、ついでに換羽期で邪魔な羽毛をむしってやった。それでも取ってしまう可能性は高い。ので、その際は・・・高橋達志郎流、昔の石膏ギプスのように完璧に動けなくする方法が、小鳥の整形としては無難な方法ではなかろうか。しかし、あれを一人でちょちょちょいとするには、「場数」が必要で20年に一度ではどうにもならぬ。道具をそろえシミュレーションを繰り返して、何とか出来たとしても、止まり木に止まって骨折した脚をぶらぶらさせるような真似はできなくなり、1週間は床面生活が必要だろう。
 ウチに居残るだろうから、多少脚が曲がるくらい良しとしよう。

 それにしても、日本に奇跡的に実在した小鳥医療の偉人から学ぶどころか存在すら知らない今現在の獣医さんは、鳥を診療して良い存在なのか、そもそも疑問を感じてしまう。はっきり言えば、失望を通り越して絶望した。何しろ、骨折で1/6の死亡率を持つ全身麻酔をともなう手術が必要などと考えるだけでも、生命軽視ではないか。1/6も殺すくらいなら、やらないのが当たり前で、麻酔をせずに済む治療方法をスタンダードに据えて技術を習得する以外にないではないか。そのように考えられない者が臨床が出来るのかと大いに疑問である。

※ なお、人間の場合、手術で麻酔を使用したことによる死亡は、10万例中1の割合、つまり0.001%である。事前に準備をして臨む予定手術では、麻酔以外の様々な要因を含めても死亡率は数%である。ところが小鳥(100g以下)では、全身麻酔をするだけで16%の死亡率だと言う。これは安全性の面で話にならない数値で、「少なからず危険がある」などとするレベルではない。それはつまり、残念ながら今の段階では、小鳥に全身麻酔は厳禁と見なす他ない数値と言えよう。

 何につけ、仕事に必要なのは丁寧と速度だと思う。そして、「丁寧は才能、速度は場数」だ。もし才能がなく不器用なら、場数を人一倍こなしてゆっくりゆっくり丁寧さを身につけねばならず、それが出来れば小才があって小器用な人の上に行けるだろう。経験、場数がものを言う。ところが今は、小鳥飼育が低調で場数をこなせない。無知蒙昧なマニュアルは接骨にいちいちレントゲンを撮って、1/6もの犠牲を出す方法論しか載っていないらしい・・・。
 16%と言う数字は小さくないと、昨日の獣医さんは理解していたが、それでも行う価値はあるとの認識であった。一昨日の獣医さんは、そもそも16%も死なせてしまう方法しかないと思い込んでいた(彼が持っているマニュアルに他の選択肢はないと言うことである。何しろ小鳥の脚はテーピングできないと言い切った。なぜならその方法がマニュアルにないからである)。しかし、私は、約1/6が死んでしまうと言うデータがあれば、それは選択肢にならない、と思っている。私がおかしいであろうか?もし人間の家族が骨折して、元通りにするためには1/6死んでしまう手術が必要だ、などと言えるだろうか?
 では、なぜ、彼らはそれをおかしいと気づけないのだろうか?だから、絶望しか感じられないのである。昨日も一昨日も、獣医さんは悪い感じの人たちではない。場数をこなした高橋達志郎流には比べ物にならない鳥扱いではあったが、高橋流の方が『神』なので、それを相手に望む方がおかしい(高橋流はおそらく「絶後」である)。一般的に見れば、十分器用で丁寧ではあった。もちろん、真面目で小動物を助けたいとの気持ちに偽りはないだろう。それでありながら、死ななかった命を1/6の確率で奪うのを良しとする感覚なのだから、一飼い主として、ペット動物を家族と見なす気持ちを理解する者としては、もはや相手に出来ないと痛感した。自分のことは自分でするしかない。

 せっかく、一人で小鳥のテーピングをしたり、麻酔なしに片手で持って手術してしまう神業の持ち主がいたのに、そこから何も学ばず、最新だ何だと新しい技術を取り入れることばかりした結果、1/6が死んでも構わない、と思うような獣医を量産してしまった、この惨憺たる有様はいったい誰のせいなのか。
 新しい手術で助けることが出来るようになるのは立派だが、手術がうまくいっても予後不良では本当の成功にならない。難しい手術をしたなら、その予後、術後半年なり1年の生存率くらい示さなければ、実験動物にしているだけになるが、それすら気づかない。
 レントゲンを撮らず、麻酔もかけずに、片手で持って手術してしまう人がいたのに、なぜ学ばなかったのか。しかも、その人は一般人向けに惜しげもなく技術を公開してくれていたのに、なぜ参考にもしなかったのか。もちろん、その技術は古いに相違ないが、麻酔で100g以下の小鳥が16%も死んでしまうのを知った時、なぜ無麻酔手術をこなす必要性に気づいて、失われつつある技術を見直せなかったのだろうか。

 動物病院に行かなくなった十有余年は、正しい選択だったと、授業料を払って理解できた。良しとしよう。
 ・・・「クロダ」の奴、やはりテープの1枚をはがしてべた付くからうんざりした顔をしている。獣医に頼らず対処しなければならぬ。飼い主も大変である。 

前日はキャリーだったが止まり木に止まっていなかったので、今回は小さなマス箱を使用。画像は帰宅直後の「クロダ」
はがれないようにのり面を大きくとったテーピングだがずっとかじる結果になる
のり面を減らしてみたら、片脚ぶらぶらが出来るようになった
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