「高橋達志郎」を復刊してばらまいてほしい

寄りかかる夫がいなくなって小康を得ているサチィ

 少しネットで調べても、100g以下の小鳥を全身麻酔すると16%が死んでしまう、の16%とはどこからくる数字なのかわからなかった。ただ、「小動物臨床における麻酔のリスク」として鳥取大学農学部の助教が「Brodbelt et al.,2008a Table 1」を基にした表を挙げ、その中にセキセイインコの「麻酔、鎮静関連死亡数」が49例中8例、16.33%とする数字は見つけた。しかし、この数字は症例も少なく、同表のオウム3.94%に対して異常に高く、サンプリングに問題がありそうに思われる(オウムのサンプルは127例)。

 「小鳥 麻酔 危険」で検索したところ、「また」、海老沢さんの解説が最初に出てきた(こちら)。医療以外の話では不用意なものが多いと思うのだが、やはり動物医療の専門家として反復継続して場数をこなした情報は、真実性も重みもある。

 絶食しないと逆流して窒息するなどなど、小鳥に麻酔する場合は細心の注意を払わなければならないことがわかる。つまり、こうした専門的な注意を省いて全身麻酔などすれば、16%死ぬといったことになるのかもしれない。つまり、16%を殺しかねないので、専門性の低い動物病院では、小鳥に対しての全身麻酔は選択肢となりえない、が正解と言えよう。
 問題は、そのような絶対的な専門性を有しない限り不可な方法以外を、専門性の無い獣医さんが認識することも出来ず(もちろん看板に小鳥の診療をうたっている)、脛骨の骨折程度のことで全身麻酔させての接合手術以外に選択肢が無いと思い込んだ挙句、常識的には16%も殺しかねないと認識すれば選択肢として排除するしかない治療方法を、飼い主に平然と何の悪気もなく唯一の治療方法として迫るところにある(「無理な治療をしない」が獣医師が守らねばならない基本原則。無理に殺す以上の無理は無いので職業上最悪の行為と言える)。
 小鳥専門以外の獣医さんにマニュアルを作るなら、知識も経験も準備もない動物病院では、全身麻酔など実施してはならず、応急的な対処としては折れた所へのテーピング方法を載せるのが適切ではなかろうか。60点しか取れない能力しかない者に、100点を取らせようとすればとんでもない勘違いを起こして0点に終わりかねず、確実に60点をとれるように配慮するのが親切というものだろう。
 レントゲンにしても、撮れば骨折箇所は一目瞭然だが、患部を触ることが出来れば(飼い主は嫌な思いをさせて嫌われるのを恐れるので触れないのである)、脚の骨折などレントゲンをしなくても部位くらいは明瞭のはずで、それも怪しければ、膨大な経験を踏まえた高橋達志郎によるいにしえの知見を活かすのが無難だろう。高橋によれば骨折部位は脛骨が多いが、高橋が一般書で解説している全体をギプスのようにして整復する固定方法なら、骨折部位が脚のどこであれ固定整復が可能だ。

 経済力のある有志で時間の余裕もある人は、高橋達志郎著『小鳥の飼い方と病気』を復刻して、500部ほど全国の小鳥診療可」とする獣医さんに送る活動をしてくれたら良いのに、と私は無責任に思っている。
『 特定非営利活動法人適正な小鳥医療を求める全国委員会』などそれらしき名前のNPOを立ち上げるか、犬猫その他を巻き込むなら「小鳥」の部分を「小動物」にして、『特定非営利活動法人OSAMEC』(小動物医療の適正化optimization of small animal medical care)』とか何とか称してその活動の一環としても良いのではなかろうか。似たような組織がすでにあれば、軒先を借りてしたいことだけして後は丸投げ・・・(お後は野となれ山となれ)。

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