
大昔の話だが、愛知県農業総合試験場(以下「農試」)は弥富系白文鳥同士の交配を勧めていたようにうろ覚えしていて、その結論が理解できなかった(致死遺伝があっても、白が生まれる比率が高くなるためだったかと。もしかしたら、他からの情報と混ざっているのかもしれない)。しかし、2001年の「台湾産ブンチョウの羽色の表現型とその活用法」においては、弥富の白文鳥同士の交配では孵化率が低いとして、致死遺伝子を持たない台湾産白文鳥を種鳥とすることを明確に勧奨していた。
・・・その通りにしていれば良かったのに、と個人的には思うのだが、おそらく産業として斜陽化し生産数が右肩下がりになる中、鳥インフルエンザに対する過剰な警戒で、台湾産の白文鳥が流通できなくなってしまい、種鳥の入れ替えが実施困難になったものと思う。・・・5年もあれば江戸系で統一できたものを。
2025年現在の私は、昨年の「やなぎす」さんの論稿を元にして、いわば「ネオ化」しており、台湾産も江戸系白文鳥の系譜を継ぐ一系統の位置づけになっている。船便で日本からヨーロッパへ輸出する際、台湾は欠かせない中継地であり、そもそも文鳥を繁殖するには日本以上に適しているので、そこで繁殖が行われない理由が見当たらないではないか。
農試によれば、1960年頃に弥富系が台湾に輸出されているようだが、特に影響は与えなかったと思われる。なぜなら、江戸系の末裔たる台湾の白文鳥に異血導入として弥富系を導入すれば、白文鳥同士でも半分はごま塩タイプのF1となってしまう。もちろん私なら「きゃー!ごま塩ちゃんだわぁ~!!」と心中は狂喜乱舞状態になるだろうが、農試の2001年の研究報告のように「大量の白い刺毛を有するため、桜ブンチョウとしての商品価値は低下する」と冷たく指摘されたら、現実を認めねばならない。いかに「ネオ化」して1840年代の将軍家、第11代徳川家斉及びその息子第12代家慶がめでた「替文鳥」、明治の最初期には「ミノガタ(箕形)」と呼ばれて珍重さ・・・、珍重させようとする動きがみられた由緒正しいごま塩ちゃん、F1、雑種であるごま塩ちゃんがあればこそ、江戸系白文鳥の存在を確認できるありがたい存在に対して、商品価値が低下するとは、無礼であろうが・・・、と言っても詮無いことなのだ。
研究報告で確認したかったのは、F1のごま塩ちゃんの幼鳥時の姿だ。私の場合、ヘイスケ(桜文鳥♂)とフク(白文鳥♀)の間に生まれた娘たち7羽中6羽までがヒナの頃から白い差し毛が多く、桜文鳥とは違っていた。1羽桜文鳥に近い色合いの子がいたが、若くして亡くなってしまい、成長による経過は追えなかった。
ところがごま塩ペアの子で、ほとんど真っ黒な濃い桜文鳥のヒナ姿だった2羽、特に「アオニ」には、現在、白文鳥になる勢いで白羽が生えてきているのだ。「台湾産ブンチョウの羽色の表現型とその活用法」には、ごま塩同士の多くの繁殖例が含まれるので、何か書いてあったかもしれないと思ったわけだ。
で、ごそごそ探していたら、海老沢&小嶋の両氏、小鳥専門の獣医さん若かりし日の夢のコラボ状態の下で、飼い主への『指導』用に作った紙きれとともに、そのコピーは見つかった。何と、出来すぎた話であろう。きっと、2000年からの10年ほど、小嶋氏の周辺に限って多発したヨウ素過剰による疑い濃厚というよりそれ以外に考えようがない甲状腺腫で、呼吸困難に苦しんだ気の毒な文鳥その他の小鳥の御霊のお導きでございましょう。ありがた山の寒カラス、こいつぁどうにもかっちけねぇ(かたじけない)。ま、偶然だが。
さらに、昔、ネットで見たような気がしたので、確認したところ、農林水産省のデータベースが全文を開示してくれていた(コチラ 考えてみれば「やなぎす」さんが紹介していたかもしれない)。ありがとう農林水産省。ところで、コメ価格を何とかしろバカヤロー!すべての元凶たるあのJA、消費者と生産者の間に立って、利権を守るだけの能無しポンコツのアレに売り渡してどうにかなるわけねーだろー!!の~~た~り~~~ん!!!
さて、2001年の「台湾産ブンチョウの羽色の表現型とその活用法」、33つがいで繁殖実験を行った農試の諸君は、「幼鳥の羽装でははっきりしないものの、成鳥になると弥富産と比べ、多量の白い刺し毛が存在していた」とされていた。すごい、使える、人たちだ。聞きたい答えが、四半世紀近い時を越えて見いだせた!つまり、台湾産白文鳥と弥富産桜文鳥の間に生まれた子には、幼い頃は桜文鳥と見分けられないが、ヒナ換羽で白い差し毛が多く入って違った姿になったわけだ。
ヒナ換羽でチェンジするとは、ヒナの頃の桜の外見は偽装・・・、これをどのように見分ければ良いのだ。さらに苦悩は深まるのであった。
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