
先日亡くなった美輪明宏さんは(故人なので以下は敬称略)、尊敬に値する「化けもの」であった。「化けもの」とは失礼だが、好きな衣装をまとい厚化粧をした自分、もしくはゲイの後輩を「化けもの」と称していたので、悪気はない(ミッツ・マングローブさん「ちゃんと“化け物”やってるわね」)。確かに、その姿は常識を逸脱した化けものであり、その才能も存在感も化けものじみていた。
しかし、20年ほど前の私は、「ヨイトマケのオジバめ、ガキを殺した!」とテレビ画面に向かって罵り、以後もその思いを引きずっている。
20年前まで、私の美輪観は、「前世はアフロディテ(ギリシア神話の美の女神)」などと吹聴する変わった人物だが、「ヨイトマケの唄」を労働者のために作詞作曲した偉大なオジバ様であった(オジさんでありオバさんでもあるので・・・)。ところが、2007年、前年にいじめを苦に自殺してしまった中学生の遺書に「生まれかわったらディープインパクトの子供で最強になりたい」とあったことがわかり、ちょうどその頃、美輪が中心となっているトークバラエティ番組『オーラの泉』が深夜枠からゴールデンタイム(土曜の夜8時台)に進出し、「つまらん番組ばかりだ・・・」とチャンネルを替えている私が10分ほど見入ってしまったのがいけなかった。
なぜか?隣の霊媒師の男(昔、バレーの川合の午前中の番組で見かけた人物だが、その頃より肉がついて目がよどんだ『欲太り』の印象)が前世の来世の守護霊のオーラの何のと理解不能な霊視?を行い、それを美輪が全肯定して、二人がかりの上から目線でゲストを教え諭していたのだ。つまり、得体のしれない霊媒師の戯言が全て事実であるとお墨付きを与える立場であり、それは前世も来世もかならずあるものとの前提でのおしゃべりであった。
結果、安易に来世に夢を見て、現世の努力を省いて死んでしまう者が、子供(精神的な子供)にでてきても、何ら不思議のない社会状況となった。と、当時の私は感じたし、今でもそうだと思っている。つまり、そのような社会に導いた責任の、少なくとも一端は、美輪にある。冷静に考えれば、美輪は元から前世や来世を信じており、目の前の迷える子羊を演じる芸能人に、おもしろおかしく演出して話しているだけ、全ては視聴率の数字が良ければ、視聴者の中のバカ、特にバカで当然(人生経験が少ないため仕方がない)の未成年者が、安易な結論に達しても気にしない、不見識そのもののテレビ局の姿勢こそが問題だが、そこからギャラをもらって演じて見せたのは美輪だ。美輪も悪い。
もちろん。前世だの来世だの、霊視で分かったら笑える。そのくらい、美輪も承知だったはずだ。タレントの千秋さんが逸話として紹介しているが(記事)、美輪が「新宿2丁目界隈」のノリで話のタネとして前世話を使っていたのがわかる。
「人の前世がわかるのよ」と語った美輪さんから千秋は「シジミ」、篠原は「招き猫」、飯島さんは「マーブルチョコ」と言われた上で、美輪さん自身は「天草四郎」と話したと振り返り、「自分だけいいやつ、ずるーーーーい!ぎゃははははは 4人で大笑いしたことが思い出されます」
しっかり「新宿2丁目界隈」である。「自分だけいいやつ」って・・・、シジミ以外は生き物ですらないじゃん!なのである。天草四郎を知っている3人は、おそらく芸能人の中では十分に賢いわけだが、歴史的に見れば実像がつかみにくい人物で、反乱軍の首魁としてさらし首になっているので「いいやつ」とも思えないが、確かにおみそ汁の具になるのよりは「いいやつ」だ。
つまり、美輪にとっての前世話はネタだ。天草四郎にしても、後年、ニシキヘビを見つけたので有名で霊能力者とされる木村藤子さんの指摘を受けると、あっさり自分の名前を売り込むためにそう言うことにした、と言っている。美少年だったのでイメージが重なったに過ぎず、それは女性お三方の外見的印象に、シジミや招き猫やマーブルチョコを連想させる部分があったのと同じだ。しかし、不特定多数が視聴しているテレビ番組で、そのような死生観を肯定されては迷惑だ。実際、件の霊媒師の男は、2007年、別の民放局の企画でも「霊視」を行って、BPO(放送倫理検証委員会)から意見を受ける事態になった。「一方的に「スピリチュアル」といった非科学的なカウンセリングを押しつけていいものか」、良いわけないのだが、『オーラの泉』は2009年まで続き、非科学的な内容を視聴者に押し付けたのである。
ところで私は前世など信じないし、来世には関わらない。もちろん、前世?たぶん、北条政子の家の庭を掃除していた人だろう、とはネタ話として思っている。霊視で見たわけではない、自分の妄想によるイメージだ。そもそも霊視など鼻から信じない。ただそれがないとも言えない。
霊能力者が全て、身過ぎ世過ぎのためデタラメを言っているわけではなく、何かしら「霊視」している人はいると思う。つまり、その人の主観としては事実だ。そして、それは何かと言えば、おそらく、事前にいろいろな情報を仕入れてその人に対面して雰囲気から感じ取ったことを、前世とか守護霊とかオーラとかいった実態の無い物に結び付けてイメージし、それが無意識の内に出来てしまう才能なのだろうと推測している。
これは、古来より存在するシャーマン体質だが、その発言など論理性は無いので、一般的な真実とは言えず、受け取る側がどのように解釈するかの問題となる。つまり、自称霊能力者は特殊才能の持ち主には相違ないが、何らかの霊を視ているとは思えない。雰囲気を感じ取る才能に恵まれているだけなので(つまり見えたと思えても、霊能力者として生きる必要はない)、雰囲気を感じ取れる対面でしか有効性はない。見えないものは見えないので、それがあるとすれば感じ取っているだけ、ましてオーラに色があるなど有り得ないだろう。温かみを暖色に置き換える、頭の中での解釈が働いているのである。
美輪は「こんな世の中を生き抜く武器は 愛の言葉しかありません この世のすべての問題を解く鍵は愛です 愛があれば戦争なんか起こりません」との言葉を残している。愛には自己愛もある。自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の典型例のような人物こそが、戦争を引き起こすものであり、実際、今現在で進行中だ。
自己愛がなければ、苦しい環境を生き抜けない。自己愛を含めれば、全てのカギは愛かもしれない。それがゆえに、戦争は起きることもある。それが現実だ。愛の押し付けは、「新宿2丁目界隈」でもご法度だろう?そういうことだ。
で、セキセイインコのピヨだが・・・。頭が黄色いぞ!美輪明宏ではないのか!なのである。ただ、こちらの性別はメスで、現在発情期、愛する私を見ると硬直して交尾姿勢になり、触り放題になる。
オマエの前世は何なのだ?こんなのに似た文鳥はいないはず・・・。ネタとして考えたいものである。
