老人を幼児扱いするなかれ

 訪米した高市早苗首相は、アメリカのドナルド・トランプ大統領に、「平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」と伝えたそうだ。素晴らしい対応だ。
 自分勝手に戦争を始めて、交渉相手を根こそぎにしてしまって、反作用で世界的混乱を起こしておきながら、自分を手伝えとわめくような人物を、ヨーロピアンは無視することにしてしまったようだが、それは身勝手だろう。無視できるわけがないからだ。何であれ、同盟の盟主は尊重し続けねば身が危うい。
 ヨーロピアンたちは、一時、傍若無人なトランプ大統領を幼児のようにあやすようにしていたが、彼は幼児ではない。高齢者である。幼児は教えれば学んで賢くなっていく可能性が大きいが、高齢者は自分の我を押し通し他人の言うことなど聞かない方が普通だ。正論で否定されれば、意地になってしまうし、上から教えられるようなことは自尊心が許さない。
 教え諭そうとして上手くいかないから、無視して反省を促すなど、およそ幼児教育と老人介護を混同した議論と言える。老人の方がはるかに厄介かつ面倒であり、基本的には何であれ、肯定してやらなければ話は進まない。「おっしゃる通りその通り!さらにこうしたらもっとうまくいくかもしれませんよ!」と持っていかねばならない。(ウザ・・・)・・・我が政府はわかっているようだ。こびへつらているとか、「幇間外交」と言われようが、彼が合衆国大統領である限り、尊重して「介護」しなければならない。

 国内では、沖縄で修学旅行中に基地建設反対の抗議船に同乗して亡くなった生徒の話題か・・・。

 私の場合、男子校の修学旅行における引率教師たちは、周到であった。
 宿泊先の選定がそもそも尋常ではなかった。旅館と市街地の間に墓地が立ちはだかっていたり、ホテルが山の中腹で市街地にたどり着くには小一時間坂道を下らなければならなかったりした。従って、従順な私は部屋でトランプ大会をしていたのだが、当然、無駄に体力のあるガキどもは夜の墓場をすり抜け、夜の山道をかけ下り、地方都市の市街地で現地の高校生に「このへんにゲーセンありませんか?」とか聞いて「ゲーセン?」と不思議がられたりしていた。
 用意周到な我が恩師たちに比べ、最近の引率教師は、「平和学習」と唱えて、生徒を「板子一枚下は地獄よ~」の小さな漁船に乗せて何の危機感もなかったらしい。平和なのは、君らの頭の中だけだ。遊園地のアトラクションでもなければ遊覧船でもないものに、未成年の子供を近づけてはならないのが、引率教師の責務とわきまえておくべきであった。残念である。
 もちろん漁師の爺さんが、ひょいひょいと一般人を乗船させていたのは軽率に過ぎる。自分の信念で反対運動に殉じたので、高校生を巻き添えにしないのなら、それは自業自得の自己責任と言えよう。しかし、亡くなった生徒に落ち度は無い。中には、基地建設に反対で危険な抗議活動をする左翼思想の人に便乗したのだから、自業自得と指弾する人もいるようだが、左派思想なら死んで当然とするような考え方は、そもそもおかしい。しかも未成年者は、右の思想も左の思想を勉強して、自らの考えを形成すべきであり、その学ぶ期間を否定するなど見当外れも甚だしいと言わねばならない。
 昔から、左派から「天皇陛下万歳!」に転向する人も、右派から革命主義に耽溺するようになる人はいるものだ。人の思想信条とは、若い頃の経験や学問によって不断に形成されるものであり、老いてなお、さほど固まらないのが普通である。むしろ軟らかな部分がなければ、相手を説得など出来ず、政党なら、支持者を増やすのは難しいだろう。

 若者は安全に育てたい、老人は無難に過ごさせたい、意識したいものである。

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