私のアノ者への失望・嫌悪を通り越した憎悪は、震災の2週間後に行なった会見に始まるが、それを決定づけたのは5月3日だ。この日、国政を預かっているアノ者とその母親と女房が、連れ立って飯を食いに出かけ、路上で記者に何を食べたのか尋ねられ、被災地に一度も行かないアノ女房がいつもの調子でしゃしゃり出て、「シャンハイヤキソバぁ!」と答えている姿が報道されたのだ。
当時、過度の自粛ムードによる消費の低迷が心配されていたので、それを払拭したいとの思惑だったかもしれない。しかし、未だに被災地では炊き出しが必要な避難所生活が続いており、原発事故現場では粗末な弁当と雑魚寝の劣悪な環境で、作業員が奮闘していた時に、為政者が「シャンハイヤキソバぁ!」など食って喜ぶなど、不謹慎を通り越して正気の沙汰ではないだろう。国民に対しては「キッキ!キッキ!」と危機感ばかり煽っていたアノ者が、一体何をどのように血迷えば、平和そのものの顔で、家族揃ってうまいものを食ったなどと語れるのであろうか?
5月3日と言えば、飯館村住民たちの避難も終わっていない時期である。福島第1原発の北西約40キロに所在する飯館村は、全くの不運な風の悪戯で、3月12日から15日にかけての水素爆発により四散した放射性物質が吹きだまってしまった地域だ。この地が注目を集めたのは、土壌に含まれる放射性ヨウ素131の値が、避難基準を上回っていると、国際機関(IAEA)が指摘した3月30日だ。それに対し我ら国民の安全を守るために存在するはずの保安院が即座に否定、4月2日にはIAEA側が修正することになった。同じ飯館村でも濃淡はあり、サンプル数を増やすと、基準値内だったということだったが、その後、同村の放射線量が高く、4月11日になって、ようやくアノ政府は飯館村の住民の全員を避難させることにし、1ヶ月内の完全実施を求めることになった…。
半減期が一週間程度の放射性ヨウ素131は、事故発生から一週間以上経ってから始めた調査時点では、かなり減っていたと考えられる。一方の放射性セシウムなどは、何十年にも渡って放射線を発生させ続けるので、それがこの地の放射線量を押し上げ続けることになり、避難が必要になってしまった。となれば、わずかばかり知識とまとも思考能力がある人間なら、放射線量が高い値を示した時点で、事故発生現場から20キロどころか30キロ圏外で、危険喚起がされなかった当該地域における、事故の初期段階における被曝の危険性を深刻に考え、格別な処置を迅速に行わねばならないことは明白だったと思う(20キロ圏内には、12日に1号機で爆発が起きた直後、避難指示が出されている)。
ところが、4月11日以前に放映されたNHKの特別番組では、「今日の放射能はどうだぁ?」みたいなことを、普段と変わらぬ恰好をした地元の人たちが野良で呑気そうに話している姿が映され(放射線の測定量が掲示されているのである。しかしそんなもの貼り出されても、普通の田舎の農家の人たちが、どうして良いかなどわかるわけがないだろうが!!)、すでに多くは避難させていると思い込んでいた私は唖然としてしまい、さらに同村に住む小さなお子さんたちを抱えたお母さんが、大家族と一緒に暮らしているし、仕事があるのでとどまっているといったことを涙ながらに話されているのを見て、強烈なショックを受けることになった。なぜ、放射線量などを発表するだけで、避難させていないのか?この人たちに自主的な判断など出来るはずがないので、飯館村がいわゆる『ホットスポット』になっている危険が高いと認識できた段階で(遅くともIAEAの指摘の直後)、なぜ早急な避難指示、少なくとも具体的な注意喚起の徹底を行なっていないのだろうか?
しかし、愕然としたのと同時に、今更、すぐに逃げろ何のと余計なことを言うのは、厳に慎まねばならないとも悟った。最も危険と見なされる放射性ヨウ素の半減期は、はるか以前に過ぎていたのだ。今後は、継続的にしっかりと健康チェックを行い、万一影響が出てしまっても早期に治療できるようにし、故郷を離れなければならない住民たちには、早期に発見すれば治療も安易なことと(いずれの地に行っても、しっかり健康診断と治療が可能な体制の構築が必須)、子孫に影響は出ないといったことをしっかり伝える必要があるだけだろう。もちろん、正しい知識を共有し差別など間違っても起きないように、国民一般を啓蒙しなければなるまい。それを、今さら、煽りたて不安感ばかり広げているのは、無知で無責任な人の魯鈍で迷惑なヒステリー反応でしかないではないか。そして、わずかな期待をもって、政府の対応を見守ってきたのだが、棄民以外の何物でもない対応に終始するアノ政府に対しては、すでに抱き始めていた憎悪をいやましに増幅させたのであった。
事故からわりあい早くに、大した組織ではないIAEAなどが、わざわざ飯館村を調べたのは偶然であるはずがない。風向きなどを元にしたシミレーションで、事故発生当時、放射性物質の多くが北方に向かってしまったのは、おそらく周知の事実であった。その時のために、日本政府は『緊急時迅速放射能影響予測システム』を整備していたのであり、そのデータがなくとも、風下が危険なことくらい、3歳児にでもわかるし、分かれば風下の人たちに注意を促すのは、もはや人間としての義務と言っても良いだろう。
事故の際、当然第一に心配すべきはその影響を受けることになる住民の生命・生活のはずで、それを守るために国家はあり政府はあり首相がいるのである。彼らは悪魔教の信徒ではないはずなので、基本的にはそれほど悪い人間ではないだろう。危険な人に危険を伝えるくらいの人間性の持ち合せはあるはずだ。ところが、何もしなかった。彼らが人間である以上、それをしなかった理由は、それに気付かなかったことを意味する。つまり、どこぞの国(ドイツ)の大使館員のごとく、200キロも離れた己の生命の危険ばかりで頭がテンパってしまい、炉心に水をぶっかけることばかりに執心し、為政者として最重要なことを失念したと、彼らの人間性だけは信じている私には理解のしようがないのである。
震災発生当初、東電の本社(本店と書いたほうが宜しいですか?)に押しかけ、わめき散らし、水素爆発の危険が迫っている現地をヘリコプターで視察する、いやはや昔と変わらぬ行動派の正義カン氏のカンカラ頭には(O157の時はカイワレ大根が原因と風評被害を巻き起こし、それを頬張ってみせたり、薬害エイズの際は関係資料を探しに自ら部局に押しかけてみたり…)、万一の際の危険地帯に住む国民への配慮など、持てる余裕もなかったに相違あるまい(そうした単なる軽挙妄動を賞賛したのが全国紙があったのだから笑える)。誠に国民にとって不幸で、禍々しい限りではあるまいか。、
このように、個人的には、震災2、3週間にして、あの政府の面々は、民生、「国民の生活」など爪の先ほどにも考えない為政者の資格などか欠片もないクズの集まり、と結論づけたのだが、その理由を挙げて言い募れば、放置された人たちを被曝者として、その差別につながりかねないと、同時に思えたので、なるべく触れずに、悪口を書くように心がけていた。最悪であっても、次世代への影響はまず有り得ない(被曝したとしても、まだ生まれていない子供には影響しない)低レベル放射能などより、いつまでも続きかねない無知による差別の方がよほど忌々しい。軽挙妄動の人に、誤解の口実になりかねない知見など無用と考えたのである。
震災発生から5ヶ月、いろいろあって、それも現在進行型だ。政府の無能無責任に腹が立ち、そのバカどもを火事場泥ではあるまいに、利用して己の主張を通そうとするような輩(郵政亀さんやソン?トク?さんのことである)に腹を立て、あの歴史に残る棄民政府をまだ支持したがる人間のいるのに絶望を覚え、たんなる不安で近くの浜岡止めても東海村にもあることくらい首都圏の住民はわきまえるべきだと憤り、関西は原発依存が大きいことも理解せずに、脱原発と首都機能の誘致が両立すると誤解しているそそっかしい関西の首長に苦笑し、官僚出身で原発推進の立場のくせに表面上のカッコつけばかりして、実は補助金の条件闘争くらいしか頭にないことくらい見え透いていた九州の首長が、やらせに関わったとして糾弾されるのを冷笑し、「子供のため」と言えば免罪符になると信じているような人たちを憐憫し、その他諸々に脳内をかけまわる有象無象を、いちいち詳細に書いていたら、こちらの精神が崩壊してしまいかねない。控えて正解と言うべきだろう。
精神崩壊と言えば、もっとも冷静であるべき、もしくは冷静さを装わねばならない首相が、癇癪持ちのキッキキッキで、震災直後にすでに精神は崩壊していたと思っていたら、その下にいた九州B型男子は(私も血液型はB型である。しかし、あんなもので性格分けができると信じられるほど非科学的ではない)、妄言と暴言で大臣のイスからあっという間に消え、何と「軽躁病」だったと診察を受けたそうで、やはりキチガイ部落(前首相は「キチガイ」を連呼したではないですか?米軍「基地」は県「外」だと)のキイン内閣だったとの思いを深くしていたら(キチガイ印、キ印・・・。まさかそのような失礼を。あなた任せの両議院の意味で貴院ですよ・・・、ということにしておくぞ!)、中の一匹が国会内の質疑で公然環視の中で号泣する体たらくまで演じてくれた。感情の起伏が激しくなるのは、自律神経失調症とでも診断されようか?行動に現れない漢文の素養を深めるより、九州のB型同様に病院に行かれることをお薦めしたい。
ところが、アノ内閣の構成員諸氏には、大臣の辞表を書く時間も病院に行かれる暇もないらしい。次の首相を目指される方が、キイン内閣の一員の中に多いらしいのだ。・・・、期待しろという方が無理だが、精神病も治ることが多いはずなので、頑張って頂きたいものである。せめて、前任の二人よりも、常識的な責任感というか恥というものを知る人であって欲しいと切に願う。
さて、私個人にできることは節電程度だが、対前年同月比で24パーセントの減少となった。とりあえず「義務」は果たしたと言って良いかと思う。
なお、いまだに東京電力を叩いていて喜んでいる人もいるようだが、それはアノ内閣の責任逃れを助長する面があり、すべて自分に降りかかってくると心得られたい。確かに、あの会社は日頃の行いが悪かったので「ザマミロ」と思わないでもなく、安全対策をないがしろにした「原子力村」などという利権構造は、木っ端微塵に消えてしまえば清々するが、何でもかんでも彼らに賠償責任を負わせれば、電気料金は跳ね上がらずには済まないのも事実である。東京電力のみが高くなるということは有り得ないため、全国一律にアップする(日本の現状は地方分権社会ではない)。何事も他人事では済まないので、スケープゴートにして溜飲を下げるのは注意が必要だ。
他地域のことだと思っていたら、自分のところが電力不足になり、他人のことだと思っていたら、食べるものがなくなる。震災復興に思いを馳せる高邁な日本人であるなら、他人事とは考えず、よりリスクの高い人のそれを少しずつ分かち合うべきであり、日本という国は実際そうならずには済まないように出来ているように思う。後で、自分のことばかり考えていたと後悔しないようにありたいと思う(「ノーモア、ふくしま」となぜか平和活動と絡めて繰り返すより、原発事故のことなど忘れて生活を送るのが正解だと、私は強く思う)。
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