文鳥の配送について 2008/11 2013/8改訂


 

◎ 家族同然に文鳥を飼育している普通の飼い主が、文鳥を品物のようには扱えるはずがないので、安易に配送を要求してはいけません!

※動物取扱業者は、2013年9月の「動物愛護法」改正により、非対面販売での生体発送が不可となりました。

 

◎ 一般人が、宅配業者に品名を偽って発送するのは通常有り得ないので、振り込ませて発送しない詐欺となる可能性が大きくなります。

 

【衝撃?の事実】
 ヤマト運輸などほとんどの運送業者に、一般の人が小鳥などの宅配を頼んでも断られてしまいます。また、西濃など受け付けてくれる運送業者でも(営業所によっては受け付けない可能性あります。また、カンガルー特急便扱いになるらしいです)、死着(シチャク、生き物が運送途中で亡くなること)補償のような特別な扱いは期待できず、個別宅配は不可で、受け取りに運送会社の営業所まで出向かねばならないことになっています。

→ 品名を偽って個別宅配で発送した場合(違約行為です)、荷扱いにより(かなり乱暴な配達人も多い)中の生き物の危険は高まります

※ 郵便局のゆうパックは、ごく近距離以外は不可なので、事実上生き物では利用できません(ゆうパックQ&A)。ただし、『内国郵便約款』9条に「堅固なびん、つぼその他適当な容器に納め、容器には完全にその脱出及び排せつ物の漏出を防ぐ装置をすること」で生き物も郵便物として発送できることになっており、定形外の速達指定などによる発送は可能と思われます。ただ、あくまでも郵便物の扱いとなりますから、天地無用となってしまい、途中の航空輸送もあり得るので多大な危険を伴うと思われます。


【衝撃?の事実】
 運送には死着のリスクが伴います。特にヒナが一羽の場合、保温が難しく(冬は使い捨てカイロなどが使用される。夏はさらに困難で控えるのが常識)、飢餓状態が長引くことで、輸送中に亡くなってしまうことがあります。また、亡くならないまでも、輸送時の不適切な環境と空腹によるストレスで、病気が発症する危険性が高まってしまいます。

→ 商品と見なした場合、そうした悲運に追い込まれたヒナを、損品と見なしてして割り切れるかもしれません(業者間では物扱いで普通に宅配される)。しかし、長く一緒に生活をしていたり、親のように給餌をして育てている普通の飼い主は、自分の発送という行為によって文鳥を死なせてしまったものと思い込み、大変な苦悩を背負うことになってしまいます。また、元気なヒナを望んで梱包を開けた飼い主予定者も、亡骸(ナキガラ)になった姿を見て大きなショックを受けることにもなります。また、環境変化で発症した病気で、始めからその看護に追われる結果になるかもしれません。
 もちろん何の問題もなく元気に届くことも多いはずですが、最悪の事態は発送側も受け取り側も覚悟しなければなりません。

 

【衝撃?の事実】
 
2013年9月の「動物愛護法」の改正により、第一種動物取扱業者は、文鳥などの鳥類に関しても、販売の際に、購入者へ「現物確認・対面説明」をするように義務付けられています。 環境省パンフレット 【抜粋】「第一種動物取扱業者が動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)を販売する場合には、その動物を購入しようとする者に対し、あらかじめ、販売する動物の現在の状況を直接見せるとともに、対面によりその飼養方法、生年月日等適正飼養のために必要な情報を提供することが義務付けられました

→ 動物取扱業者に対して、文鳥の現在の状態を実際に見ることなく、配送を要求すると、法律違反を強要するのと同じことになってしまいます。

 

【結論】
 文鳥を家族の一員のように考えた場合、それを受け入れる特別な体制を持たない運送業者は信用できず、万一の際の飼い主、飼い主予定者、そして何より小さくか弱い文鳥自身のことを考えれば、休日に深夜バスなどを利用して、遠路をはるばると迎えに行き、経済的な負担はより大きくなりますが、新幹線なり航空機で速やかに連れ帰るのが無難な方法と言えます。

 しかし、現実として手渡しによる授受が難しい場合、次善の策として運送業者を頼らねばなりません(空輸する場合、受け取りは空港)。
 もちろん、その際は発送する飼い主に厳重な梱包と運送業者の営業所もしくは空港に運ぶ時間と労力、飼い主予定者には営業所・空港まで迎えに行く時間と労力を覚悟しなければなりません(それでも文鳥自身にはそれなりの負担を強いている)。もちろん、特に空輸の場合は、事前に綿密な打ち合わせが必要になります。
 残念ながら、注文して宅配される「品物」を、ハンコを持って玄関で待っているといった受身で安易な態度では、文鳥の輸送は不可能なのです。

  以上のような、生体発送が困難な事実をわきまえず、一般の飼い主に対して、その人が育てた文鳥を、「送ってください!」と安易に要求すれば、無知で、文鳥の健康を考えず、安易に生き物を飼おうとしていると、誤解される危険が大きいことを、認識すべきです。
 小鳥を商品的に扱えるお店やプロ的な個人、もしくは自家繁殖した文鳥を各地に広めて不特定多数の人々に喜んでもらおうと考える経験豊かな飼い主(万一死着が発生してしまっても、全体の幸福のための個の犠牲と割り切るしかない)が募集される場合は、発送のノウハウがあるはずで、里親募集などの際には、必ず発送可能とお書きになるはずですから、手渡しの受け取りが不可能な人は、軽はずみな要求をせず、そのような発送可能と明記している募集を待ちましょう

 

 小さくてか弱い外見や、市場では数千円に過ぎない「物」といった、くだらない表面的な事柄にとらわれずに、文鳥の価値を正当に評価すれば、10年近くも飼い主の側にいてくれる知性的で個性的な魅力にあふれた生き物です。犬や猫に勝るとも劣らない魅力的な文鳥を、健康に迎え入れることが出来るのなら、手渡しで受け取れるように努力して損は無いはずです。普通の飼い主が、必要経費など考えずに栄養豊かに育てた文鳥を手に入れたいと望むなら、可能な限り自分で出向くように心がけたいところです。

※ 「里親」希望者が生体配送のリスクを理解していない場合、後々トラブルの元にもなります。
ブリーダーさんは、動物取扱業者による非対面販売は「動物愛護法」違反になりますので、その点ご留意の上、
交渉初期の段階に、丁寧なご説明をお願いいたします。


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